2009.10.30(金)
私の所属している「ねりま社会福祉士会」では、2カ月に1回程度『社会福祉士の倫理綱領』についての勉強会を、講師をお招きして開いています。
前回はその倫理綱領を最初から読んでいって、疑問に思う点やここはどうなの?という点を出し合いましょうということになりました。読み始めたところ、前文の最初から4行目ぐらいに“自己実現”という言葉が出てきます。『……社会福祉の推進とサービス利用者の自己実現をめざす専門職であることを言明する。』という文章の中で使われているのですが、ここでまず「利用者の自己実現とは?」という疑問が出されました。参加者はみなさん日頃の自分の仕事の場での経験を思い浮かべながら考えたと思うのですが、有料老人ホームで仕事をしているメンバーからは「入居者でお風呂に入りたくないという方に対して、その人の希望通りにすることが自己実現なのか、それとも健康や清潔を保つという点から、ご本人の意向を無視して、無理やりにでも入浴させてしまうしかないのだろうか? そういう場合の自己実現とはどう考えたらいいのか、皆さんはどうしていますか?」といった投げかけがありました。
それに対して、それぞれ自分の立場や経験から、色々な意見が出されました。
最近は地域で、とかなるべく在宅で、という流れがあるけれど、ご本人が施設のほうがいいと思っている場合もあるとか、高齢の方はよく自分が生きていることが迷惑だと感じているけれど、それでいいのだろうか考えてしまう、という意見もありました。
路上生活者になんとか支援をと思っても、本人がそのままがいいという場合もある。そういう場合に無理やりどこかの施設に入ってもらうことが、本当にその人の自己実現につながるのだろうか、という悩みも出されました。
それらの現場が抱えるジレンマや悩みに対して、結局はご本人が「生きててよかった」と思えるように手助けするのが私たちの仕事なのではないか、そう思って仕事をしているという意見や、ご本人が選択肢を知らない場合も多いので、可能な選択肢を示して、色々な道があることをわかったうえで、現在の生活を選ぶのならば、それでもいいのではないか、という意見が出ました。
また、自分の自己実現ができていないと、他人の支援はできないのではないか、という考えもありました。
結局倫理綱領を読み始めて4行目までのところで、2時間を費やす議論となりました。私自身はそうやって、倫理綱領の文章をそれぞれの現場に当てはめて考えていくということは、とても大事なことだなと感じました。なかなか充実した時間でした。
私にとっての自己実現って何だろう???と考えてしまうきっかけにもなりました。