2009.10.19(月)
2009年4月に出版された幻冬舎新書です。
内容が
1.コミュニケーション論・メディア論
2.若者論・教育論
3.幸福論
4.米国論
5.日本論
と大きく五つに分かれており、そのどれから読んでも、自分の興味のある部分だけ読んでもわかるようになっています。
「2.若者論・教育論」の中に、「いじめ」は本当に決してなくせないのか という項目がありました。そしてその中で筆者は 「いじめ」はなくならない のではなく、「いじめ」は殆どなくすことができる という考え方の転換が必要と述べています。 そして、少し前に阿部寛の主演で映画化された重松清の『青い鳥』に出てくる、吃音の先生の言葉を引用しています。 「本気で話されたことは本気で聞かなくちゃいけないんだ」と話す先生の本気が、やがて生徒たちに“感染”していきます。心底スゴイと思える人に出会い、思わず「この人のようになりたい」と感じる“感染”によって初めて理屈ではなく気持ちが動く。そして、スゴイ奴に接触し「スゴイ奴はいじめなんかしない」と“感染”できる機会をどれだけ体験できるか……。
また、ダメなものはダメということを伝えられる人(大人?)がどれだけいるのか とも書いています。
“感染”によっていじめが減るかどうかは疑問もありますが、確かに理屈抜きに「スゴイ」と感じる人に出会う体験というのは、人生の中でとても大事だなと、自分自身を振り返っても感じます。
言っていることは全部が全部正しいとは思えなくても、それでもなんだか「スゴイ」と思える人、そんなスケールの大きな人間が減ってきたのかもしれないと思うとちょっと淋しいですね。
これからの社会を担う子ども達には、心が動く体験をたくさんしてもらいたいと思います。
それから、そういう「スゴイ奴」というのは、みな利他的であるとも書いてありました。なるほど……。
この本には「深いかかわり」というような意味での「コミットメント」という単語がよく出てくるのですが、それが私にはなんとなく違和感があって、ちょっとすっきりしませんでした。日本語で言ってくれたほうがわかりやすいのに。多分英語だとひとつの単語で表せるからなのだろうと思いますが……。