2012.2.29(水)
成年後見制度を利用し、親族が後見人等になっている場合に、管理しているご本人の財産をご本人のためでなく、自分のことで使いこんでしまったり、横領するという事件が起きています。
そういう背景もあって、家庭裁判所は『成年後見制度支援信託』というものを開始しました。ある程度の財産を持っている方に対して後見の申立てがなされた場合に、まずは第三者の専門家が後見人等になってご本人の財産を整理し、今後の生活についての見通しをたてて、支出計画を作ります。
そのうえで、親族に後見人をバトンタッチし、日常的に必要なお金は普通預金等にして出し入れし、その他の財産は信託銀行に預けて、裁判所の許可がなければ払戻しできないようにするというものです。
この制度は、当初昨年の4月から運用開始の予定でしたが、家庭裁判所と信託銀行との間だけで話が進み、弁護士、司法書士、社会福祉士等の専門職団体には何の相談もなかったために、専門職団体から待ったがかかり、開始が遅れていました。それでも結局24年の2月からスタートしたということです。
大きな金額を勝手に動かせなくなるという点では不正が起こりにくくなるかもしれませんが、必要なお金を出すためには手続きと時間が必要ということになり、ご本人のためにご本人のお金を使いにくくなるというマイナス面も指摘されています。 また、扱う金融機関によっても手数料や運用に違いがありますし、申立ての時点で家庭裁判所が信託の利用を勧めるということなので、例えばご本人の財産がいくら以上等何らかの基準にあてはまる場合に勧められるのか、まだ運用が始まったばかりでもあり、今後の動向を見守っていきたいと思います。