2010.9.20(祝・月)
東村山市にハンセン病の療養所である「多摩全生園」があります。現在でも広い敷地内に住居があり、生活している方々がいらっしゃいますが、敷地内は自由に通り抜けることもでき、グラウンドは草野球のお父さんや子どもたちが使用しています。桜の大木もあって、春にはお花見もできます。
私は近くの施設に時々行くことがあり、全生園はとても良いお散歩コースになっています。昨日も車いすを押してお散歩に行って、少し時間があったので、敷地の一角にある「国立ハンセン病資料館」を訪れてみました。その存在は知っていながら、なかなか入る機会がなかったのですが、せっかくなので思いきって足を踏み入れてみました。平成5年に「高松宮記念ハンセン病資料館」として開館したものが、平成19年に現在の「国立ハンセン病資料館」として再開館したそうです。
新館が増築されたということで、中はきれいで常設展示は「らい病」と言われて忌み嫌われた病気の歴史、療養所の様子とその中での生活、療養所の今と患者のこれから等が写真や実物の道具等によって生々しく伝わってきました。 小学生用の説明書きが備えられていたり、映像による証言等も多く、わかりやすく説明する努力がなされているようでした。
ちょうど9月25日(土)〜12月26日(日)には
「全生病院」を歩く −写された20世紀前半の療養所− という秋季企画展が予定されているようです。 http://www.hansen-dis.jp/ をご参照ください。
資料館のパンフレットから「ハンセン病とは」との解説を抜粋してみます。
ハンセン病はらい菌による経過の慢性な感染症です。
感染しても発病するとは限らず、今では発症自体がまれです。
また万が一発症しても急激に症状が進むことはありません。
初期症状は皮疹と知覚麻痺です。
治療薬がない時代には変形を起こしたり、治っても重い後遺症を残すことがありました。
そのため、主に外見が大きな理由となって社会から嫌われてきました。
現在では有効な治療薬が開発され、早期発見と早期治療により
後遺症を残さずに治るようになりました。
かつては間違った情報や偏見によって、患者本人だけでなく家族みんなが人としての尊厳や権利を奪われて、人生そのものが絶望と深い悲しみに包まれてしまったという事実を、これからの世代にも少しでも伝えていかれたらと感じました。