2010.8.12(木)
成年後見制度は、判断能力が衰えてしまってから利用する法定後見と、判断能力がしっかりしているうちに、いざというときのために自分で契約を結んでおく任意後見と、大きく二つに分かれています。
法定後見制度については、ご本人はすでに判断能力が衰えているわけですから、施設との契約を結ばなくてはいけないとか、相続手続きのために、不動産の処分が必要というように、どちらかというと家族や周りの人が必要に迫られて利用を考える場合が多いようです。しかも、後見人等になる人を決めるのは、最終的には家庭裁判所です。 一方、任意後見契約は自分がしっかりしているうちに、自分が判断能力が衰えたときにお世話になる人と、やってもらいたいことを自分で決めることができます。そのため、任意後見人になってもらいたい人に、自分の希望をしっかりと伝えておくことができます。施設に入りたいのか、ずっと在宅で過ごしたいのか、病気になったらどうするのか等々……。
前に団地内の住民の皆さんの集まりで「成年後見制度について」ということで、主に「法定後見制度の概要と、相談窓口」のお話をさせていただきました。そのときにも、高齢の方が多くいらっしゃいましたが、皆さましっかりしていて、法定後見のお話よりも、これからのご自分のことを今のうちに考えて備えておくという趣旨の「任意後見」のご案内をしたほうがよかったのではないかと思いました。 また、日々のご相談を受ける中でも、最近は「任意後見」について知りたい、という方が多くなっていることを感じます。平均寿命が延びている現在、自分の老後(いつからを老後というのかも疑問ですが……)は自分でプロデュースしたい、家族に迷惑をかけないように準備しておきたいとお考えになる方が多くなっているようです。
私もこれからは「任意後見契約」について、皆さまに有益な情報をご提供できるように、もっと研究を重ねたいと思っています。