「これから塾」で遺言書についての講師を務めました
2021年8月6日(金)
理事長をしているNPO法人成年後見推進ネットこれからが毎月第一火曜日の午後に開催している「これから塾」。8月は「遺言書にまつわるあれこれ」ということで、行政書士の酒井から遺言書の基本的なことについて、ナレーションを付けた資料をプロジェクターで映すかたちで皆様にお伝えしました。
新型コロナウイルスの感染が拡大している状況の中、区の施設である街かどケアカフェこぶしを使わせていただけることはとてもありがたいです。人数制限や換気、消毒、検温等の対策を徹底し、参加者もスタッフもマスク着用で臨みました。
まずは遺言書とはそもそもどういうものかというところから始めて、次の四つのポイントを挙げて説明しました。①亡くなった後に効力が生じるもの②民法で定められた内容(相続、財産処分、家族関係等)に関すること③決められた書き方に従うもの④単独でするもの。
そして、遺言書でできることで法律上の効力が認められるものとしては、やはり財産に関することがメインで、そのほかには子どもの認知や遺言執行についてなどがあること。
遺言書の種類としては、主なものに自分ですべてを書く「自筆証書遺言」と公証役場で公証人と証人2人の立ち会いのもとで作る「公正証書遺言」があり、それぞれの特徴をお話ししました。また、昨年からは自筆証書遺言を法務局で保管してくれる制度ができ、それを利用すると、本人が亡くなった後に自筆証書遺言を家庭裁判所に提出して、その存在を確認する「検認」という手続きをしなくても金融機関で相続手続きができることをお伝えしました。
また、どんな方が特に遺言書を作っておいた方がいいか、というところでは、特に結婚していて子どもがいないご夫婦は、兄弟姉妹や甥姪が登場する可能性もあるので、配偶者にすべての財産を相続させるという遺言書を作っておけば、最低取り分である遺留分がない兄弟姉妹や甥姪には財産が渡らないで、遺言書通りに実現できます。ということを強調しました。
ひと通りお話しした後には、話の内容を踏まえてクイズを出して、〇×で皆さんにお答えいただきました。ほとんどの方が正解されていたので、皆さん、よく理解してくださったことがわかりました。
最後に、遺言書を作る準備段階として、自分の相続人や財産を把握し、葬儀やお墓について考えることは終活の一環となるとともに、今後の生活をどこでどのように送りたいか、延命治療はどうするかといったことも考えるきっかけになればよいし、そのために「これから」が作っている「これからノート」を活用していただけるとうれしいです。ということでお話を締めくくりました。
お話の後には質問を受け付けましたが、それぞれにご自身の状況や経験に基づいて具体的な質問が出され、活発な質疑応答となりました。
参加してくださった方が、「もっとたくさんの人に聞いてもらえるといいのに」とおっしゃってくださったのがとてもうれしかったのですが、人数制限のある中なので、あまり広く宣伝できないというジレンマがあって、つらいところです。