お見送りのかたち
2021年5月7日(金)
このところ葬儀や火葬に立会う機会が続きました。近しい親族だけのこじんまりした葬儀と、葬儀は行わずに火葬炉の前でお別れをする直葬という形でしたが、いずれも落ち着いてゆっくり故人とお別れすることができて、参列した皆が心満たされるお別れとなりました。
葬儀のかたちは、もともと家族葬や一日葬といったシンプルな形が好まれるようになっていたところに、コロナ禍ということで、参加する人数も絞って、遠くからは人を呼ばない、会食も控えるというように、一層簡素化が進んでいるようです。
私が参列した葬儀は、身近な人だけで一日で行い、菩提寺の住職にお経をあげていただいてから斎場で荼毘に付されるという形でしたが、葬儀の際も親族でゆっくりお別れをすることができました。
直葬のお別れは、NPOで任意後見を受任していた方でしたが、お看取りしていただいた施設から葬儀社の安置所に搬送し、火葬の日まではそこに会いにいくこともできました。火葬にはNPOの担当者はもちろん事務局メンバーで都合のつく者が皆参列し、火葬炉の前で棺にご本人の好きだった食べ物や差し上げた手紙等を納め、故人に語りかけながらきれいなお花で棺を埋め尽くしました。施設長さんも来てくださって、故人について語り合うこともでき、皆が寂しいながらも温かい気持ちになることができました。
このようなお別れができたのはどうしてかと考えてみると、本人がある程度元気だった時に、自分の人生の最終段階をどのように過ごしたいか、特に命が助からない状況になったときに少しでも長く生きたいのか、それともいわゆる延命治療はしないで、痛みや苦しさは取り除いてほしいのか、ということを本人に聞いていて、どちらも痛みは取ってほしいけれど、人工呼吸器等の延命治療はしてほしくないという意思を確認してありました。そのため、病院と施設という違いはありましたが、医師や施設側に本人の意思を伝え、延命はしないで緩和だけはお願いしますとしたところ、ほとんど苦しむこともなく、静かな最期を迎えられました。
また、最期が近づいた時には、その後のことにどう対処するかということを考え、葬儀社に見積もりをとってどこに依頼するかの心づもりをしておき、親族等にも連絡をしていました。また、任意後見人として支援していた方には監督人が就いたばかりだったので、その監督人にも状況を説明して指示を仰いでいました。そういった準備をしていたからこそ、いざというときに慌てることもなく、予定通りに事を運ぶことができ、お別れも心おきなくできたのではないかと思っています。
やはり準備と心づもりは大切です。さて、あらためて自分自身の最期はどのように迎えたいのか、考えておかないといけないですね。