ドキュメンタリー映画「けったいな町医者」
2021年4月4日(日)
兵庫県尼崎市で在宅医をしている長尾和宏医師の著作を原作とする映画「痛くない死に方」と同時に公開となった、長尾医師本人の在宅医としての日々を追いかけたドキュメンタリー映画「けったいな町医者」も観てきました。
運転しながら電話できるシステムを搭載した車で患者さんのところを回る様子。患者さんやその家族との対話。電話を受けて、必要なら「今から行きます」と、どこにいても駆けつける姿。クリニックでの患者さんとの軽妙なやり取り等々。患者さん本人だけでなく、その家族の想いや気持ちも聴き取って、できるだけ希望に添うように真摯に向き合う姿が映し出されていました。そして、クリニックで開かれる患者さんと家族のためのクリスマス会に向けて、忙しい合間を縫って一生懸命歌を練習する様子には、全力で人を楽しませようとする先生の心意気を感じました。
実際の患者さんの例がたくさん出てきましたが、中には元気なうちにきちんとリビングウイルを自分で書いて、色々な準備をして、妻への感謝の気持ちも書いていた男性もいて、長尾先生も「すばらしい」と感嘆していました。
長尾先生のような在宅医が身近にいて、そういう医師に出会えた人は幸せだろうなと思います。これから、在宅での医療や看取りが推進される中で、どれだけ患者や家族に対して言葉を尽くして向き合ってくれる在宅医や訪問看護師等の医療や介護のチームが地域にあるかということが、本来の地域包括ケアの実現につながるのではないかと感じました。そして、私は医師でも看護師でもありませんが、関わる人に対して『言葉を尽くす』ことがどれだけできているだろうか、元々話をすることが得意ではないけれど、それでも誠実に相手に対して言葉を尽くすことによって信頼関係が生まれると思っているので、これからも努力して、誰に対しても言葉を尽くせるようになりたいと思いつつ、銀座の映画館を後にしました。