『痛くない死に方』
2021年3月30日(火)
在宅医療に関する映画を続けて2本観ました。
実際に大阪の尼崎で在宅医療に携わっている長尾和宏医師の著書を原作とする『痛くない死に方』と、その長尾医師の日常を追ったドキュメンタリー『けったいな町医者』の2本です。
長尾医師の著書のうち『痛い在宅医』と『男の孤独死』を読んだことがあったのですが、今回の映画は物語の前半は『痛い在宅医』に出てくるエピソードが基になっています。
物語の前半で、患者を苦しませて死なせてしまった「痛い在宅医」だった医師が、先輩在宅医の現場を体験することによって大事なことを教えられながら成長し、後半では自分の担当患者とその家族に寄り添いながら、患者とその家族を平穏死に導いていく様子が描かれています。
主人公の医師を柄本佑さんが演じているのですが、最初は眼鏡をかけて白衣を着て、どこか他人事のようなのに上から目線の医師だったのが、先輩医師に同行して、患者さんが在宅で家族に囲まれて穏やかに亡くなっていく現場を体験することによって、何を大切にすべきなのかを学んで実践していく後半は、白衣でなく普段着で患者さん宅を周り、表情豊かな顔には眼鏡はなくコンタクトに変えている。その対比もとても印象的でした。
柄本佑さんはNHKのドラマ『心の傷を癒すということ』でも精神科医の役をされていてましたが、なんとなくその姿と重なるものがありました。役柄的には全く違いますが、医師としてのたたずまいといったものが…。
この映画を通して、本人が元気なうちからどのような死を迎えたいのかを考え、それを家族や周りの人と共有しておけるか。人が亡くなる時には実際にどのような状態になって、どんなことが起きるのかということを知っているかどうか、そして何よりどんな在宅医を選ぶのか、それらによって人の最期はこんなにも変わってしまうのか、ということをまざまざと突き付けられたように感じました。
ドキュメンタリーほうはまた次の機会に。