想いは通じる うれしかったこと(1)

2020年1月26日(日)

 2019年夏頃に、練馬区内の介護事業所のケアマネージャーから、成年後見制度の利用が必要そうな方がいるけれど、どのように制度に繋げればよいかわからない、とのご相談がありました。

 ご本人は、奥様に先立たれてお子さんのいない90代の男性で、練馬区内の一軒家に一人住まいをしています。このところ認知症の症状が進んできて、生活はヘルパーさんの支援が入ってなんとか成り立っていますが、金銭管理の面で、署名と印鑑でお金を下ろしている金融機関から、自分の名前の漢字が書けなくなってきたということで、もう払戻しが難しいと言われ、困っているということでした。(この方は銀行のカードを作っていませんでした)

 私もご本人にお会いしに行きましたが、デイサービス等には行きたがらずに、一日中家の中のソファに腰かけて過ごしているような感じでした。 ケアマネが後見制度の利用が必要だろうと考え、弟さんに相談したところ、「もう年齢も年齢だし、費用もかかるから成年後見なんて利用しなくてもいい」と言われ、申立人にはなってもらえない状況でした。そうなると、本人申立か首長(区長)申立でやるしかないのですが、診断書を訪問医に依頼したところ「後見」類型となり、それでも本人申立で実務は司法書士に依頼しようとしたところ、申立の依頼も委任契約になるので、本人が契約できる判断能力がないと難しいと言われ(判断能力がないから後見の申立てをするのに!)断念せざるをえませんでした。

 それならば区長申立でお願いするしかないので、まずは管轄の地域包括支援センターに連絡をして、こういう方がいるので、区長申立をお願いできないか、と伝えたところ、弟さんがいるのなら、区長申立は難しいと言われたのですが、それでも「区長申立をするかどうかに関係なく、まずはご本人の所へ行って状況を確認してきてください」とお願いしたところ、担当の方がご本人の自宅を訪問してくださいました。ただ、ご本人に後見制度について説明してもあまり理解していただけず「そんなの使わなくていい」と言われるし、弟さんも必要性を感じていない状況では、むりやり事を進めることもできず、地域包括もそれ以上は動いてくれませんでした。

 ご本人は、今後お金が出せないと困ることは目に見えているので、後見制度が必要な方であることは間違いありません。それなのに制度に繋がらないのはおかしい!と思い、何か手立てはないだろうか、と色々と考え、知り合いの他の地域包括の職員さんや、社会福祉協議会の権利擁護センターにも相談してみました。そして、預金が下せなくなるといった金融機関のほうから行政に働きかけてもらえないか、とも考えましたが、ご本人が希望しなければそれも無理なことでした。

 そんな折に社会福祉協議会の権利擁護センターが定期的に主催している、区内の成年後見に関わる専門職と行政の担当者が集まる「ネットワーク会議」が開催されました。ちょうどそこに、このご本人の担当である地域包括の職員や区長申立をする場合に事務を行う福祉事務所の係長も参加しており、会議の後には名刺交換をして直接話をすることもできました。今までは電話でしか話をしていませんでしたが、後見制度に関する情報交換をする会議で、日頃抱える疑問や悩みを話し合った後に、直接顔を合わせて話をすることで、お互いの意識も変わったようで、地域包括の方も、このご本人の区長申立について、福祉事務所の担当に相談してみますと言ってくださいました。

 しばらくしてどうなっただろうか、と電話で地域包括に問い合わせたところ、福祉事務所の会議にかけたけれど、家族(弟さん)がいるのだから、その家族の協力が得られないと区長申立も難しいということになったとのこと。「そんなぁ」と思いましたが、そうなったらキーパーソンは弟さんなので、弟さんにもお願いしてみようと電話をしたところ、既に地域包括のほうから連絡が行っていて、ご本人のところで職員にも会って「あとは任せたからよろしく頼みます」というようなことを言われました。再度地域包括に電話で確認してみると、本人と弟さんの了解が得られたので、区長申立の手続きに入りますとのこと。ようやくここまで来たか、という感じで、本当にうれしかったです。

 そのしばらく後に、成年後見人の団体「ぱあとなあ東京」の研修があり、最初の自己紹介の際に、最近あったうれしかったことを話してください。というお題が出たのですが、すぐに頭に浮かんだのがこの件で、「なかなか成年後見制度に繋がらなかった人が利用に繋がったこと」と言っている私がいました。

 途中で諦めずに「何とかしたい」と強く想ったことが結果につながったのかなと思うと、想いは通じるのだなと実感した出来事でした。

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