無力感

2019年1月27日(日)

 練馬区の地域包括支援センターから成年後見に関するご相談をいただいた案件がありました。

 在宅で生活していた高齢の男性が脳梗塞で倒れて入院されたのですが、その方の奥様も体調が悪く、ご主人の支援はできないということで、北陸地方在住のお姉様に連絡が行き、そのお姉様が地元と東京を行ったり来たりしてご本人の面倒をみている状況でした。
 そのうえ、ご本人の奥様の妹さんご夫婦が、ご本人の預金通帳とカードを持って行ってしまい、ご本人の入院費等はすべてお姉様が立て替えていました。

 ご夫婦の間には元々色々な事情があったようですが、それにしてもご本人の財産をご本人のために使えないのはおかしいので、地域包括の職員も妹さんご夫婦に、成年後見人をつけて、きちんと必要なものは払ってもらうようにしたほうがいいですよ、と話をしてくださっていました。

 そのような状況で、私がかかわらせていただくようになったのですが、お話を聞く限りでは、ご本人が何もできない状況で、奥様もご本人の支援は難しいのであれば、成年後見人等を就けて、ご本人の財産はご本人のためにきちんと使えるようにするべきだと思いました。

 入院先に伺ってご本人の状況を確認させていただきましたが、その時にはお姉様のお住まいの近くの病院へ転院することが決まっていたので、地元でご本人にふさわしい後見人等を見つけるのがよいだろうと考えました。ただ、ご本人の住民票が練馬区にあるので、最初は東京家裁に申立てするのかと思っていましたが、確認したところ、ご本人が現に居る場所での申し立てになるということで、病院のある地域の管轄の家裁に申し立てればよいことがわかりました。申立人はお姉様にお願いするつもりで、必要であれば私がそちらに出向いて、少しずつ準備を進めようとしていたのですが、奥様の妹婿が、もともと成年後見人を就けることには難色を示していたのが、後見人を就けないと不動産の処分や保険金の受取もできないということは理解されたらしく、今度はご本人の親戚に弁護士がいるので、その人にすべて任せるようにと言ってきたそうです。

 お姉様もご自身が高齢で持病を抱えながら弟さんの支援をしているところに、妹婿から何度も電話で色々と言われて、疲れてしまったということで、結局弁護士がすべてやってくれるならばそれでいい、とご自分で申し立てることは諦めてしまわれました。そのため私がお手伝いすることもできなくなったのです。

 奥様の妹婿がいう弁護士がきちんと申し立てをして後見人が就くのであれば、それで構わないのですが、今までの経緯を考えると、親類の弁護士というのも怪しい気がするし、ご本人の権利が守られるかどうか心配です。

 ただ、私の立場としては、お姉様がもう相手に任せたと言う以上は何もできません。その話を聞いたときは、なんとかもう少し一緒に頑張ってみませんか、とお姉様にお伝えしたのですが、「もういいです。今までありがとうございました」とのことで、結局その後どうなったのかもわかりません。

 目の前に人としての権利を侵害されている方がいるのに、自分にもっとできることはなかったのだろうか…、その後しばらくは自分自身がいかに無力かということを痛感し、悲しいような悔しいような、複雑な思いになりました。