成年後見制度の本人申立

2016年5月30日(月)

 成年後見制度を利用しようとする場合、ご本人の住所地を管轄する家庭裁判所に制度を利用したいという申請をすることになります。それを申し立てというのですが、誰でも申し立てができるわけではなく、申立権者というのが決まっています。

 法定後見の申立権者としては、本人、配偶者、四親等内の親族、成年後見人等、任意後見受任者、任意後見人、成年後見監督人等、市区町村長、検察官等となっています。
 一般的には親族が申立人になることが多いですが、申し立てできる親族がいない場合や、いてもかかわれない場合等は、行政が対応していわゆる首長(市区町村長)申立になったり、保佐、補助類型の場合は本人申立ということもできます。

 私が後見人等をさせていただいている中にも、保佐や補助で本人申立というかたちをとった方は何人かいらっしゃいます。ただ、後見類型での申し立てとなると、本人の判断能力がないと診断されたということなので、本人申立はできないだろうと考えていました。

 ところが、一番最近私が後見人に就任した男性の場合、後見相当の診断書が出たのですが、本人申立で申請したところ、すんなり通って後見の審判がおりたのです。

 その方は、脳梗塞で入院後1人暮らしのアパートに戻ったのですが、介護者がお金や物を盗っていくとの訴えや、上階の住人が勝手に入ってきて年金を下してしまう等の妄想が出現し、食生活も乱れて体調を崩し、再度精神科の病院に入院となり、ひとりいる娘さんも体調が良くなくてかかわりをもてないということで、地域包括支援センター支所の担当者とも保佐で酒井を候補者として本人申立でやりましょうということになっていたのですが、主治医の診断書で後見類型との判断が出たので、区長申立にしてもらうしかないかなと思ったところ、相談した練馬区の地域包括支援センター本所からは後見類型でも本人申立でやってくださいとの回答があったため、ご本人にも説明をして、委任状をいただいて必要書類を集め、申立書類を整えて東京家庭裁判所に申し立てをしたところ、特にご本人に調査官が会いに来るということもなく、後見の審判がおりました。

 後見制度に詳しい弁護士の先生にも「後見類型でも本人申立ができるのでしょうか」と伺ったところ、植物状態で寝たきりとか重度の障害というような方の場合は難しいかもしれないけれど、後見で判断能力がないとの診断を受けていても、ある程度日常会話ができて、制度を利用することを希望しているような場合は、本人申立も可能なのでしょうとの見解でした。

 確かに今回の被後見人も、ご自身が自分の財産を信じられる人に預かってもらいたい、という希望をはっきり表明していらっしゃるので、ご自分で財産管理をすることは難しいけれど、申立能力はあるということになるのだろうと納得しました。

 今回の件で、補助・保佐類型でないと本人申立はできないという認識を新たにして、後見類型でも本人申立が可能ということを学びました。