高齢者の経済状況と社会保障費の世代内負担

2013.5.19(日)
 
 本日、ねりま社会福祉士会総会に参加してきました。総会後には記念講演として長く練馬区の高齢者福祉に携わり、昨年から田園調布学園大学に転身された今井伸先生による「高齢者の貧困と介護保険における負担の在り方について」のお話がありました。
 
 増大する高齢者の社会保障関連費用を誰が負担するのかという議論のほとんどは、現役世代が支えるという世代間支援の考え方に支配されている。
 一方、高齢者の経済的状況を統計等から検証すると、平均値で語られることの多い「高齢者金持ち論」の実態は、多くの低所得高齢者の存在とともに、高所得高齢者も少なからず存在することを示している。所得の多寡にかかわらず医療や介護の普遍性を担保するためには、現役世代の負担をあてにしないで、高齢者世代内での負担の分かち合いが必要である。
 では、なぜ高齢者にかかる費用を同じ高齢者世代の高所得者に負担させるという施策への転換が進まないか。社会保障の充実を強く願うのはその恩恵を受ける高齢者とその前段階の50歳代であるが、それらの世代は人口も多く、選挙に行く割合も高い。つまり、選挙では彼らの声が大きくなるので、政治家は彼らを向いて仕事をする。高齢者世代内での支援を掲げて立候補したら、負担が増える高齢者層の票は逃げていくので、普遍的な社会保険の構築を目指して高齢者の負担増を訴えることは選挙に負けることを意味する。
 だからといってこのまま施策の転換を行わずにいると、普遍的な制度構築どころか、現役世代に負担を押しつけることで制度破綻を招く。
 今こそ増大する社会保障費の負担の在り方を根本から考え直し、高所得高齢者の負担を増やして、世代内支援を実現すべきとのご意見でした。
 
 制度の転換を図るためには、若者や現役世代が自分たちの将来の希望を託せるような選挙制度にならないといけないのかなという気持ちにもなりました。