酒井行政書士事務所

メニュー:日記・コラム
[#]次へ
酒井玲子の日々

2009.09.15(火)
    「 酒井玲子の日々」を訪れてくださってありがとうございます。
 どうやってここにたどり着かれたかはわかりませんが、これも何かのご縁です。
 酒井玲子ってどんな人間なの?? と興味を持っていただけたら、時々のぞいてみて
 ください。
  私自身は、一期一会を大事にしたいと思いながら日々生活していますので、
 そんな酒井玲子のつぶやき、出会った人々、読んだ本の感想、
 失敗談(たくさんあって困るだろうなぁ)、もちろん仕事のうえで参考になるようなことも
 色々と徒然なるままに書いてみたいと思っています。
  



「ハウジングファースト」−稲葉剛氏の講演−

2018年6月3日(日)

 先日、ねりま社会福祉士会の定期総会が開催されました。総会後の記念講演には、稲葉剛氏をお招きして『ハウジングファーストが福祉を変える』というテーマでお話をしていただきました。

 稲葉氏は1994年から新宿を中心に路上生活者の支援活動に取り組み、湯浅誠氏と共に自立生活サポートセンター・もやいを設立。2014年まで理事長を務め、幅広い生活困窮者の支援活動を展開してこられました。現在は一般社団法人つくろい東京ファンドの代表理事として、都内の他の6団体と共に「ハウジングファースト東京プロジェクト」を進めていらっしゃいます。稲葉氏の今までの実践と「ハウジングファースト」の考え方、実際どのような支援を行っているのか等についてお話を伺いました。

 「ハウジングファースト」とは、住まいを失った生活困窮者の支援において「安定した住まいの確保」を最優先とする考え方です。路上生活を続けている人の中には精神疾患や依存症を抱えたり、対人関係に苦手意識を持つ人も多いのですが、そのような人達に、これまでの支援は、住まいを提供するにしても、まずは施設や寮といった集団生活の中で治療を受けさせ、就労支援を受けて、社会に出る準備ができて初めてアパートでの独り暮らしができるというステップアップ方式が主流でした。このような支援では、集団生活になじめなかったり、人間関係でのストレス等によって途中でドロップアウトして路上に戻ってしまう人が多かったようです。
 1990年代に比べると路上生活者の生活保護申請は進んだそうですが、福祉事務所が民間宿泊所への入所を事実上強要するケースも多く、貧困ビジネスの存在も問題になっています。また、生活保護を利用することに対する心理的な壁も大きく、路上と施設を行ったり来たりする人が少なくありません。

 これまでのステップアップ方式の支援に対して「ハウジングファースト」は、『本人のニーズに応じて、安定した住まいの確保と支援を提供する』というシンプルな考え方です。治療や就労支援を受けること、施設や寮での集団生活を条件にしないで、本人が望めばプライバシーの守られる安全な住まいを得ることができるという、今までゴールだった住まいがスタートとなる、正反対のアプローチと言えます。そして、ハウジングファースト東京プロジェクトは「住まいは基本的人権である」を理念のひとつとして活動しているそうです。 

 今回の稲葉氏の講演で、初めて「ハウジングファースト」という考え方について知りましたが、確かに誰にとっても安全で安心できる空間(住まい)が保証されるというのは、生活するうえでとても大事なことだなとあらためて感じました。また、住まいが提供されるだけでなく、住まいと同時に本人に寄り添って相談に乗り、継続的にサポートしてくれる支援者の存在がとても重要で、そのような支援者がいるかどうかが、このプロジェクト成功のカギといってもいいように思いました。
 さらには、路上生活者に提供される住まいがどれだけ確保できるかも大きな問題だろうと思います。

 講演後の懇親会にも稲葉氏は参加してくださいましたが、その席で、「目の前の困っている人をどう支援するか、ということが一番大事だ」とお話しされていたのが印象的でした。困っている人、弱い人達を支援する実践の積み重ねによって、後から制度や法律が整備されるというのはよくあることです。制度の壁があるならそれを変えてしまえばいい、人にとって何が一番大事なのかを常に考えて、行動を起こせる人間になりたいなと思った講演会でした。



NPOむすびとてんびん橋の接続問題(行政相談委員の奮闘)

2018年5月21日(月)

 私が参加しているオレンジカフェアリス(いわゆる認知症カフェ)を主催しているNPOむすびの事務所は、光が丘内の以前UR都市機構の事務所があった場所(UR賃貸団地の2階部分)です。

 むすびの事務所の隣にはフローリングの比較的広い空間があり、そこを「むすび倶楽部」として、オレンジカフェ、PUBむすび、歌声喫茶、各種研修等々に利用しています。広間の隣には開閉できるカウンターがついたキッチンもあって、最終月曜日のアリスでは、食事会を開催しています。

 このように、とても利用価値のある空間なのですが、そこに大きな問題がひとつ。光が丘という街自体の造りにも関係すると思うのですが、この団地の住人の入口エレベーターホールは1階にありますが、むすびの事務所へ行くには外階段を上って直接2階へ行くしかありません。そして、それが結構急な階段なので、高齢者、特に足が不自由な方にとっては、この階段がネックとなって、むすびのイベントやカフェに来られないという声が多く聞かれるのです。車いす利用の方に至っては、むすびに来ることができません。せっかく良い事業をやっても、来てほしい方に来てもらえない状況になっています。
 ただ、その2階部分のすぐ横にはてんびん橋という、光が丘のメイン道路を渡る橋が建物と並行してかかっていて、素人目には柵さえ取っ払ってちょっとしたスロープでもかければ、その橋から直接2階の事務所へ入れそうに思えるのです。

 今回、オレンジカフェアリスの参加者が練馬区の行政相談委員の方と知り合いになったことがきっかけで、むすびの事務所の橋からの接続問題について、なんとかならないか、という相談をその方にもちかけました。相談委員の方はすぐに現場であるむすびの事務所を見に来られて、相談内容をURと練馬区に伝え、色々と働きかけてくださいました。

 一時は結構良い感触との経過を聞いていましたが、結論としては、建物の持ち主であるUR都市機構が「難しい」と判断したとのこと。それについての経緯の説明と行政相談委員の仕事についての話が本日のカフェアリスで、関わってくださった行政相談委員の方からありました。

 UR、練馬区ともに建物や橋(区道になるそうです)の耐荷重量等を再計算するとともにURでは他の可能性(外付けエレベーター、他に使える空き部屋がないか 等々)も検討した結果、建築基準法の関係や費用の問題もあって、『どうしようもない』との結論に達したとのことです。行政相談委員の方によると、UR側も担当者はとても熱心に動いてくれて、練馬区も基本的にはURが持ち主である建物のことなので、URで何とかなれば、区も動くというスタンスだったようです。

 実はこの問題、私個人的にも何とかならないかと考えていて、関係者の署名を集めて議会に陳情書を出そうか…などと思ったことも。だって「NPOむすび」は練馬区が推進する「街かどケアカフェ」として区と協定を結んでいる場所なのに、そこに高齢者や障害者が来にくいというのはどう考えてもおかしい気がします。

 ただ、今回行政相談委員がUR,練馬区との間に立って色々と奮闘してくださり、それでも難しいということになったのであれば、これ以上どうしようもないのかと、ある意味納得せざるを得ませんでした。

  今までも行政相談委員という方がいることは知っていましたが、具体的にどのようなことをしているのか、どんな時に相談できるのか、ということはよくわかっていませんでした。今回行政相談委員の役割や実際にどんな相談を受けているのか、そして改善された例を聞くことができて、とても参考になりました。また、行政相談委員は無報酬でその仕事をしているということを知って、とても驚きました。

 本日のアリスでは、行政相談委員のお話の他に、読売新聞WEB版を担当する方がみえて、ご自身の仕事について説明するとともに、昔の新聞を利用した『回想法』を実践するためのDVDを発売するということで、そのPRとアリス参加者に対してのインタビューをされました。

  このようにオレンジカフェアリスでは、フリートークのほかに、毎週ではありませんがミニ講座として色々ためになる話を聞く時間があります。薬剤師、看護師、福祉用具といった専門家の話や消防署、清掃事務所の職員による出前講座に加えて、アリス参加者がそれぞれの経験や専門知識を披露することもあります。こういったプログラムも、むすびのネットワークや参加者自身の提案、人脈によるところが大きく、生活に活かせる知識も多いので、話を聞く側もとても熱心です。私個人としてもとても勉強になります。

 これからもどんな話が聞けるのか、楽しみなアリスです。



[#]次へ

▲上へ
酒井行政書士事務所(東京都練馬区、光が丘、石神井)トップページ